子供の頃から漫画家を目指していた私が物書きに転向した話

 私は子供の頃、ずっと漫画家になるのが夢で、漫画家を目指していました。毎日毎日絵を描いて、好きな漫画家さんの絵を真似して、漫画の描き方の本を購入して、「いつか漫画家になるんだ」と気合いを入れていたものです。

高校ではもちろん漫画研究部、親に頼み込んで漫画の通信講座まで受けていました。ひたすら描いて描いて描き続けて、夢見てきた漫画家ですが、あるときふと「とある事実」に気が付いたことで、すっぱりと諦めたのです。

 その「とある事実」はふたつあります。ひとつは、「どれだけ頑張っても、現代の背景が描けない」ということです。建物や車などがどうしても描けないのです。ファンタジー系なら比較的描けるのですが、ファンタジー系でも建物は少し苦手でした。

 私が描きたかったのはSFだったので、これはとても致命的でした。もうひとつは、「同時に追いかけていた夢」が大きくなったことです。それは物書きになるという夢でした。漫画家になりたいと思った頃、同時に物書きになりたいと思い始めていたのです。

 小説家でもいいし、シナリオライターなどでもいいのです。とにかく、自分の創作を書く仕事に就きたいと思っていました。漫画と物書き、その両方をずっと頑張ってきましたが、背景が描けないと気付くと同時に、私は物語を作ることそのものが好きなのだと気付きました。

 それを実現するならば、漫画でなくてもいいのではないかと思い至ったのです。そうして、私は漫画家になるのを諦めました。
今はどうなのかと言えば、それなりに夢を叶えた状態です。いくつかの名義で、自分の創作したものを書いて報酬をもらうお仕事をしています。

 今は全く漫画を描いていませんし、絵そのものも描いていません。でも、ふと思うことがあります。ノートに鉛筆でもいいから、背景がなくてもいいから、いつかまた漫画を描いてみたいなと思うのです。

 せっかく勉強していたのですから、完全に描かなくなってしまうのはもったいと感じたのです。それから、物書き仕事の際にプロットを漫画で描いてみるのもアリかもしれませんね。漫画に対する熱が、少しだけ戻ってきたように思います。
投稿日:2016年7月19日

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