現物か、電子書籍を買うか、紙の本が好きで迷う人は多い

 昭和生まれとしては、漫画にしても本にしても、やはり紙のページをめくるもの…とずっと思っていました。が、この10年くらいの間に、状況は大きく変わってきています。

 音楽で、CDではなくiTunes等でダウンロード購入することができるようになったのと同時に、「現物ではなくデータ購入」という選択肢が増えました。それは音楽だけでなく、漫画や小説の分野にも波及。加えてネット上では同人作家やアマチュアたちが、自分の作品をネット上にアップし、不特定多数に直接届けることが可能になりました。またスマートフォンやタブレット、ほかにも専用端末のKindleの登場と普及になり、電子書籍は一気に市民権を得たように思います。

 たしかに電子書籍は便利です。データをしっかりバックアップしておけば、劣化することなく作品を保存しておけます。読みにくい部分を拡大したり、気に入ったらその端末で続刊や同じ作者の別作品を購入することも可能です。場所も取りません。しかし、紙の温かみを知っている古い人間からすると、無味乾燥としている気もします。

 当たり前ですが、本は紙で出来ています。経年や何度も読み返すことによる黄ばみや劣化も、作品への愛着を示すもの。またページをめくった瞬間に出てくる見開きページのインパクトは、電子書籍ではなかなか味わえないものです。また、タブレット等の端末の画面で見ていた絵を、改めて紙のページで見ると、臨場感や迫力がかなり違うのです。同じ漫画でも、データと現物では受ける印象が大きく違います。

 もちろん電子書籍のメリットは先に挙げた通りですし、まだまだこれから発展していくなかで、漫画の新しい楽しみ方を提示してくれるはずです。しかし、アナログだからこその温かみや味わいというものを忘れたくないというのも本音です。少なくとも、時代についていけない…ということにはなりたくないもの。漫画の次なる読み方や楽しみ方に、大いに期待しています。

 どちらにせよ、食わず嫌いにはならずに、どちらも経験した上で選択をしたいですね。
投稿日:2016年7月15日

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