今こそおすすめ!耽美漫画の登竜門「ポーの一族」

 少女漫画界の大御所・萩尾望都氏による名作「ポーの一族」。1970年台に少女時代を送った世代には、知らない人はいないのではないかというほどの有名作品ですよね。2016年には、40年ぶりに続編が連載されるということでも話題を呼びました。

 そんな言わずと知れた名作を、ぜひ今の若い世代にも知っていただきたいんです。特に、「おそ松さん」「進撃の巨人」「黒子のバスケ」などの作品に覚えのある少女たちに!気に入っていただけること、間違いありません。

 物語の舞台は1740年頃から1976年までのヨーロッパ。年代が広すぎないかって?そうなんです。なぜなら、この物語の主人公エドガー・ポーツネルはバンパネラ(吸血鬼)だからです。森に捨てられた幼い兄妹、エドガーとメリーベル。二人は、二人を拾った吸血鬼の一族によって、仲間に加えられます。

 普通の人間よりもゆっくりと流れる時の中を、最愛の妹を支えに生きてきたエドガーですが、1879年に人間に正体がばれ妹を含めた仲間を喪ってしまいます。妹を喪った悲しみと、同族のいない孤独に沈んだエドガーは、親しくしていた少年アラン・トワイライトをバンパネラを一族に加え、二人で支えあい旅に出るのです。

 片や生涯孤独で、いつまでも妹の影を追う聡明な美少年・エドガー。片や地元名士の一人息子という何不自由ない暮らしを捨ててエドガーだけを支えに生きる美少年・アラン。
吸血鬼は人間と比べ遥かに長命のため、お互いだけの時間を悠久に生きる二人……。あまりに耽美。お互いしかいない同族という、愛情よりも強い絆で結ばれ続けているのです。

 いかがでしょうか?現在は単行本5冊、文庫版3冊が出版されており、どちらも短編連作のオムニバス形式で収録されています。1話読めば名作と名高い理由がわかるはずです。是非一度、お手にとってみてください。
投稿日:2016年7月15日

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